「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」に示される「音楽」の取扱は、きわめておおまかである。それはすなわち、この時期の音楽表現活動は自由が許されるのと同時に、保育者が「保育」という観点から、「表現」における音楽以外の分野とも統合した広い範囲から音楽を捉える必要があるということだ。
自由が保証されるからには、保育者には子どもの「音楽」について、十全な識見を身につけていることが望まれるだろう。本書は「音楽活動表現」について、実用的に述べた一冊である。また、保育現場で生き生きとした音楽表現活動を行うために、本書1冊のみからの視点に留まることなく、本保育内容シリーズのほかの分野も併読し、幅広い視野を持つよう心がけたい。